成年後見制度Q&A(Part5)
21.成年後見制度を申し立てた場合、鑑定になる場合があるそうですが、どの様な場合に鑑定になるのでしょうか?また、期間や費用はどうなりますか?
後見申立及び保佐申立の場合、原則として鑑定が必要となっており、「明らかにその必要がないと認めるとき」には鑑定を省略できる事となっています。
但し、実際に鑑定が行われているのは、申立全体の約10%となっており、多くの場合が鑑定省略となっているのが実情です。
22.任意後見契約をした場合、いつから任意後見がはじまるのですか?
任意後見は任意後見契約を締結したらすぐに始まる訳ではありません。
本人が認知症などにより、判断能力がなくなった段階で一定の手続きを行うと任意後見が始まります。
一定の手続きとは、、
① ご本人の判断能力が衰えてきたと時に、医師の診断書を用意します。
② 家庭裁判所に必要書類を添えて「任意後見人選任の申立」を行います。
③ 家庭裁判所で「任意後見監督人」が選任され、任意後見が始まります。
④ その後、任意後見人は契約に定められた内容の仕事(財産管理・身上看護)を
行い、定期的に任意後見監督人に報告を行います。
23.任意後見人は誰がなるのですか?また、任意後見人の報酬はどれくらいかかりますか?
任意後見人は、ご本人か依頼した方がなります。
特に必要な資格はありません。
しかし、業務内容が財産管理となり、任意後見監督人への報告もありますので、信頼の置ける方にお願いする必要があります。
任意後見人の報酬は、ご本人との契約により定めます。
親族が任意後見人の場合は無報酬ということもありますが、責任のある仕事ですので、報酬を定めたり、遺言で財産を渡すなどと配慮も必要かも知れません。
任意後見が始まると任意後見の報酬以外に、任意後見監督人の報酬も発生することになります。
任意後見監督人の報酬は裁判所が決めますが、目安は示されています。(Q15)
また、第三者に依頼する場合の任意後見人の報酬は各事務所で決定しますが、一般的な目安は下記のとおりです。
管理財産額が 5,000万円以下 月額2~4万円
5,000万円超~ 月額5~6万円
24.任意後見契約の作成を司法書士へ依頼する場合、費用はいくらかかりますか。
各事務所により異なりますが、一般的な目安は下記のとおりです。
・任意後見契約書作成 100,000円
・公証役場実費 30,000円~50,000円程度
25.後見人は、手術の同意ができますか?看取りの同意書への捺印はできますか?
後見人に医療に関する同意権はありません。
成年後見人は、診療契約や入院契約を締結することはでき、診療報酬の支払いをする権原がありますが、身体に対する侵襲性のある医療行為については、原則、本人の同意が必要となります。
医療行為の同意については、原則、本人の同意をもとめること。
本人の同意が取れない場合は、家族の意見を伺い調整する。
家族がいない、同意が難しい場合には、関係者による個別の会議を開き、意見調整をする場を設ける必要があるでしょう。
「看取りの同意」についても、自己決定権の尊重として、原則、本人の同意が必要となりますので、上記のような対応が必要になります。
※ 「看取りの同意」の意味合い
一般的に「最後まで施設で生活し、急変があった場合にも延命治療はしない。
従って、医療機関に搬送しない」などの内容を含む施設に対する指示書。
施設にとっては、病院に搬送しなかったことに対する違法性を問われないた
めに必要としている書類の面があります。