成年後見をお考えの方へ
当事務所では、2016年現在まで、約50名程の方々の成年後見人等に就任し、ご支援をさせて頂いてきました。また、親族の方が成年後見申立をする際の申立書類の作成手続のお手伝いも多数させて頂いております。
ご支援させていた方の数名はお亡くなりになり、近しい親族の方がいらっしゃらなかったため、当方で葬儀や納骨の手続を行った例もございます。
私が司法書士試験に合格したのは平成13年でした。その当時、司法書士の成年後見の団体である「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート」が立ち上がり、司法書士の業務として「成年後見人」があるということを知りました。
受験生時代は全く成年後見の事を知らなかったのですが、合格後に成年後見の研修を受け、登記だけでなく、司法書士が「権利擁護」を行い、人のために役立つ業務が出来るということに感動を覚え、「是非、やってみたい」という気持ちを持ったことを思い出します。
司法書士の業務の中でも「成年後見」は業務量が多く、個人の人生に関わっていく仕事であるため、負担も大きく、業務を行っている司法書士でも1名から5名程度の受任をしているのが精一杯という現状もあります。
しかし、私は「成年後見業務」は司法書士だからこそできる業務だと常に思っていますし、司法書士向きの業務だという強い思いがあります。
そのため、ご依頼があれば積極的にお受けしてきましたし、今後もお受けしていきたいと考えております。
成年後見業務は、ご本人の全財産管理するため、非常に高い倫理観が求められます。
残念ながら成年後見人としてご本人の財産を横領する事件が起こっていることは事実です。弁護士や司法書士が横領事件を起こす度に非常に残念な気持ちになります。
私は、現在、「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート」という司法書士の成年後見の団体に所属しています。この団体は会員の資質向上(研修)と執務管理(業務の報告)を大きな目的としており、私も日々研鑽を行い、執務の管理を受けております。
成年後見人として活動する際に様々な問題に遭遇する時がありますので、常に研修は必要ですし、横領等の不正がないように、一人よがりの業務遂行がないように執務管理を受ける(業務の報告をする)必要があると感じます。
現在も日々成年後見業務を行い、施設や病院、自宅を訪問しご本人に面談等をおこなっております。そこで感じるのは、ご本人をとりまく多くの方がご本人のために活動されていることへの感謝です。
我々、成年後見人ができることは多くありません。親族のような接し方もできませんし、するべきではありません。ご本人のために多くの方の助けが必要であり、その中の一人として周りの方と協力しながら活動するのが後見人です。
ご本人のみならず、周りで活動する全ての方が快適に幸せに過ごせるように今後も成年後見人として活動していきたいと強く思います。
成年後見制度とは
成年後見制度は知的障害、精神障害、認知症などにより判断能力が十分でない方が、不利益を被らないように家庭裁判所に申し立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度です。
例えば、一人暮らしの老人が悪質な訪問販売員に騙されて高額な商品を買わされてしまうなどといったことを最近よく耳にしますが、こういった場合も成年後見制度を上手に利用することによって被害を防ぐことができる場合があります。
後見人の役割
財産管理
■ 預貯金による入出金のチェックと必要な費用の支払い
■ 所有不動産の管理
■ 後見費用捻出のための不動産などの売却
■ 管理の必要上、必要であれば訴訟行為を行うこと
■ 確定申告や納税
身上監護
■ 治療、入院に関し病院と契約すること
■ 健康診断などの受診手続き
■ 住居の確保(賃貸借契約)をする
■ 施設などの入退所に関する手続き
■ 施設や病院の処遇を監視し、本人に不利益がある場合は、改善要求する
■ 要介護認定の手続きや介護サービス事業者と介護サービス契約をする
■ 介護サービスが契約どおりか確認し、異なる点がある場合は、改善要求する
■ 教育・リハビリに関する契約をする
■ 訪問などにより本人の状況に変更がないか「見守り」をする
家庭裁判所への報告
■ 1年に一度程度の収支報告
■ 財産を処分したり、財産管理の方針を大きく変更するとき(遺産分割・相続放棄)
■ 本人の入院先・氏名・住所・本籍、又は成年後見人の住所・氏名が変わったとき
■ 療養看護の方針を大きく変えるとき
■ 本人死亡時の成年後見終了登記申請
■ 財産目録の作成
■ 財産の引き渡し
■ 終了報告
成年後見制度の種類
成年後見制度とは、判断能力が不十分なために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で支援する身近な仕組みです。
成年後見制度には、(1)任意後見制度(2)法定後見制度があります。
(1)任意後見制度
将来、自分の判断能力が衰えたときにそなえて、あらかじめ支援者(任意後見人)を選んでおきます。将来の財産や身のまわりのことなどについて、「こうしてほしい」と、具体的な自分の希望を支援者に頼んでおくことができます。「任意」という意味は、「自分で決める」ということです。
万一のときに、「誰に」、「どんなことを頼むか」を「自分自身で決める」仕組みなのです。任意後見人は複数でも構いませんし、公益社団法人成年後見センタ-・リーガルサポートなどの法人もなることができます。
(2)法定後見制度
すでに判断能力が衰えている方のために、家庭裁判所が適切な支援者を選ぶ制度です。
選ばれた支援者は、本人の希望を尊重しながら、財産管理や身のまわりのお手伝いをします。
本人の判断能力の程度に応じて、次の3つのタイプに分けられます。
■ 補助/判断能力が不十分である
■ 保佐/判断能力が著しく不十分である
■ 後見/ほとんど判断することができない
申し立てに必要な書類と費用
成年後見制度を利用するには本人の住所地の家庭裁判所に申し立てをする必要があります。申し立ての必要な書類と費用はおよそ以下のとおりですが、事案によって多少異なります。
■ 申立書
■ 申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
■ 本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
■ 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、後見登記事項証明書各1通(候補者がいる場合)
※身分証明書は、本籍地の役所が発行する破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。
■ 申立書付票
■ 本人に関する報告書
また、費用としては以下のものがかかってきます。
1)収入印紙
2)切手
3)登記費用
4)鑑定費用
報酬基準表はこちら
書類等作成費用
任意後見契約書作成 80,000円
見守り契約書作成 30,000円
任意代理契約書作成 40,000円
死後事務委任契約書作成 30,000円
遺言書案作成 30,000円
遺言書証人日当 15,000円(一人あたり)
契約後の費用
見守り業務 月額 5,000円~
任意代理契約 月額15,000円~
任意後見契約 月額30,000円~
※報酬の目安
管理財産額が 5,000万円以下 月額3~4万円
5,000万円超~ 月額5~6万円
死後事務報酬
300,000円~
遺言執行費用
相続財産の割合に応じて、次のとおりとする。
300万円以下のとき 30万円(税別)
300万円を超え、3,000万円以下のとき 2%+24万円(税別)
3,000万円を超え3億円以下のとき 1%+54万円(税別)
※その他~任意後見契約が効力発生後は任意後見監督人の報酬が別途必要となります。
(裁判所が額を決定します。)